重要なポイント:
越境決済手数料は、複数の通貨・銀行ネットワーク・規制環境が関わる国際取引を行う際に発生するコストです。
金融機関が越境決済手数料を請求するのは、通貨換算に伴う為替変動リスクへの対応と、国際取引の処理コストをカバーするためです。
事業を展開している地域で地元の企業のように入出金を行うことで、越境決済手数料を削減できます。現地の口座情報を持つ口座を開設し、国内の決済ネットワーク経由で送受金することが有効な方法のひとつです。
世界のEC市場は年率8.02%で成長し、2029年には5.89兆米ドルに達すると見込まれています。越境でのオンライン購入が拡大し続けるなか、企業はその恩恵を受ける一方で、積み重なる越境決済手数料という課題にも直面しています。こうした少額の手数料は、高頻度で国際取引を行う企業や海外の仕入先への支払いが多い企業では、あっという間に膨らんでしまいます。越境決済手数料の増大は収益に直接影響するため、手数料の仕組みを理解して削減することが、グローバル市場での競争力を維持する鍵となります。
本記事では、カード決済に関する国際手数料を中心に、越境決済・海外送金手数料の種類・相場を比較しながら、削減する具体的な方法をご紹介します。
越境決済手数料とは?
越境決済手数料とは、異なる国・地域間の取引を処理する際に発生するコストです。海外の銀行が発行したカードで支払いが行われた場合や、通貨換算が必要な取引の場合に主に発生します。企業が直面する越境決済手数料には、主に以下の種類があります。
海外取引手数料
海外取引手数料は、外国銀行を経由した取引や外貨が関わる取引を処理する際に、金融機関が事業者に請求する手数料です。通常、取引金額の1〜3%で、カード発行元の手数料と通貨換算手数料が含まれます。カード発行元の手数料は、通貨換算の有無にかかわらず、カードが国際取引に使用された際に顧客の発行銀行が請求します。通貨換算が発生する場合は、別途通貨換算手数料が加算されます。
通貨換算手数料
通貨換算手数料は、ある通貨から別の通貨への換算が必要な取引に対して金融機関が請求する手数料です。通常、固定金額または取引金額の一定割合で設定されます。この手数料は、変動する為替レートに伴うリスクや、通貨換算にかかる運用コストに対応するために課されます。
事業口座の基本通貨と異なる通貨で入出金を行う場合、銀行は通貨換算手数料を請求することがあります。元の通貨(顧客が支払った通貨)のまま保有したい場合でも、銀行が自動的に基本通貨に両替してから口座に入金するケースがあります。このように勝手に両替されると、本来不要な通貨換算手数料が発生してしまいます。
為替レートの上乗せ分
通貨換算手数料に加えて、為替レートに上乗せ分が含まれていることがあります。これは手数料ではなく、銀行間為替レート(インターバンクレート)に上乗せされるマージンです。銀行間為替レートとは、銀行や金融機関が互いに通貨を取引する際に使用するレートで、通常は一般の事業者には適用されません。
例えば、金融機関同士が銀行間レート0.9でUSDからEURに交換する場合、100米ドルで90ユーロを購入できます。しかし、金融機関を通じて換算する場合、レート0.8のような低いレートが提示されることがあります。この場合、100米ドルで80ユーロしか購入できず、差額の10ユーロが金融機関の利益となります。この上乗せ分は為替レートに組み込まれているため、気づきにくいのが特徴です。
電信送金手数料
SWIFTなどの電信送金で海外に送金する際、銀行や金融機関は電信送金手数料を請求します。手数料は機関や送金額によって異なり、1回あたり10〜50米ドルの定額制の場合もあれば、取引金額の一定割合の場合もあります。電信送金手数料は、国際銀行ネットワークの利用や法令遵守を含む資金移動のコストをカバーするものです。
これらの手数料の種類・発生理由・適用方法を把握することで、コスト管理を強化し、収益を守るための対策を取れます。
その他の手数料
銀行や金融機関によっては、以下のような手数料が発生することもあります。
受取手数料:外貨建ての入金を受け取る際に請求される手数料です。
送金手数料:海外への送金に対して請求される手数料です。
中継銀行(コルレス銀行)の手数料:金融機関が越境決済に仲介銀行を使用する場合に発生する手数料です。
そのほか、返金・未達に対する未着手数料、マネーロンダリング防止法などの国際規制への対応にかかる手数料、一般サービス手数料などが発生することがあります。越境決済向けの決済サービスを選ぶ際は、これらの手数料の有無を確認しておくと安心です。
例:通貨換算手数料がどのように積み重なるか
金融機関が為替レートに上乗せ分を隠れたコストとして含めることで、どのように不利なレートと高い手数料が発生するかを見てみましょう。
例えば、米ドルからユーロへの銀行間レートが0.9(100米ドル = 90ユーロ)とします。
為替レートの上乗せ分:金融機関がレート0.80を提示した場合、100米ドルで80ユーロしか購入できません。銀行間レートと提示レートの差額が金融機関の取り分です。この例では:90ユーロ(銀行間レート)- 80ユーロ(提示レート)= 10ユーロ。
通貨換算手数料:次に取引金額の2%の換算手数料が適用されます。80ユーロの2% = 1.60ユーロ。
合計手数料:10ユーロ(上乗せ分)+ 1.60ユーロ(換算手数料)= 11.60ユーロ。
最終受取額:78.40ユーロ(換算後80ユーロから換算手数料を差し引き:80 - 1.60 = 78.40ユーロ)。
上乗せ分あり(上乗せ + 2%換算手数料) | 金額 | ||
|---|---|---|---|
銀行間レート(0.9) | 100米ドル → 90ユーロ | ||
金融機関の提示レート(0.8) | 100米ドル → 80ユーロ | ||
為替レートの上乗せ分(差額) | 10ユーロ | ||
通貨換算手数料(80ユーロの2%) | 1.60ユーロ | ||
合計手数料 | 11.60ユーロ | ||
最終受取額(90ユーロ - 手数料) | 78.40ユーロ |
フィンテック各社は、銀行間レートに0.5〜1%程度の小幅なマージンを上乗せしたレートを提供しており、高額の手数料や隠れた上乗せ分を大幅にカットできます。同じ取引を0.5%の手数料で行った場合、89.55ユーロを受け取れます(銀行間レート 90ユーロの0.5% = 0.45ユーロ引き、90 - 0.45 = 89.55ユーロ)。
銀行間レートで換算(0.5%換算手数料) | 金額 | ||
|---|---|---|---|
銀行間レート(0.9) | 100米ドル → 90ユーロ | ||
為替レートの上乗せ分 | 0ユーロ | ||
通貨換算手数料(90ユーロの0.5%) | 0.45ユーロ | ||
合計手数料 | 0.45ユーロ | ||
最終受取額(90ユーロ - 手数料) | 89.55ユーロ |
越境決済手数料はいつ、なぜ請求されるのか?
越境決済手数料は、顧客が海外の銀行が発行したカードで支払いを行う際に発生します。例えば、欧州の顧客が米国のオンラインショップで欧州発行のクレジットカードを使って購入した場合、その取引に越境決済手数料が発生します。
VisaやMastercardなどの国際カードブランドと銀行は、複数の通貨や国際銀行ネットワークが絡む越境決済の管理コストをカバーするために越境決済手数料を請求します。この手数料は、通貨換算・為替変動リスクへの対応、取引処理コスト、安全で効率的かつ法令に沿った決済の仕組みを維持するための費用です。例えば、顧客がユーロで米国の販売業者に支払いを行う場合、ユーロを米ドルに換算する必要があります。このプロセスは単純な通貨換算にとどまらず、為替変動リスクの管理や複数の銀行ネットワークを介した取引処理を伴います。
越境決済手数料の相場は?
越境決済手数料は通常、取引金額に対する割合で設定され、通貨換算手数料が加算されます。カード取引では、カードブランドや取引種別によって取引金額の0.6〜1.4%程度の手数料が発生します。例えば、米国の事業者が100米ドルのセーターを販売し、スウェーデンのMastercardで米ドル建て支払いを受けた場合、Mastercardが0.6%の越境決済手数料を請求すると0.60米ドルの追加コストとなります。Visaの手数料も同様ですが若干高く、同条件では0.8%(0.80米ドル)になることがあります。
通貨換算レートも変動要因のひとつです。通貨換算が必要な取引では、適用されるレートによって最終的なコストが大きく変わります。例えば、スウェーデンクローナを米ドルに換算する際に不利なレートが適用されると、取引の総コストが上昇します。
ただし、朗報があります。透明性の高い銀行間レートを提供する決済サービスを活用することで、これらのコストを大幅に削減し、利益率を守れます。銀行間レートは金融機関同士が取引に使用するレートであり、適正な為替レートの基準として広く使われています。Airwallexのようなサービスなら、銀行間レートに0.2%からの透明な上乗せ分だけで利用でき、海外取引手数料・為替の上乗せ分・受取・送金手数料などの隠れたコストはかかりません。
越境決済手数料は必ず払わなければならないのか?
国際的にビジネスを展開している場合、越境決済手数料の支払いは避けられないことが多いでしょう。これらの手数料は、異なる通貨・規制環境をまたいだ決済処理のコストに対応するものです。高額な越境決済手数料は、運営コスト・利益率・資金繰りに影響します。例えば、手数料の増大により価格戦略の見直しや顧客へのコスト転嫁を強いられると、グローバル市場での競争力が低下するおそれがあります。競争力を維持するためには、これらのコストを抑えることが重要です。
海外送金・越境決済手数料の比較と削減方法
越境決済手数料は、大幅に削減したり、場合によってはほぼゼロに近づけたりすることも可能です。以下の方法をご紹介します。
現地通貨口座を活用して複数通貨での決済を受け取る
顧客の支払い通貨に対応した現地通貨口座で受け取ることで、為替手数料をなくせます。現地通貨口座では、通貨換算なしに顧客と同じ通貨で決済を受け取り、同じ残高から仕入先への支払いもできます。従来、複数国に現地銀行口座を開設するには大量の書類手続きと現地法人の設立が必要でした。しかし、新しいタイプの金融サービス会社を活用すれば、勝手に両替されることも手数料もなく、複数通貨の入金・保有ができる現地通貨口座をオンラインで開設できます。
顧客に現地の決済手段を提供する
現地の決済手段に対応した決済サービスと組むことも、コスト削減の有効な方法です。現地の決済手段で支払いを受け付ければ、国際取引に通常発生する海外取引手数料がかからなくなります。コスト面のメリットだけでなく、顧客が使い慣れた方法で手軽に支払えるようになり、お客様にとっての使いやすさも向上します。さらに、現地の決済手段は国際カード取引よりも処理手数料が低いことが多く、コスト効率に優れた選択肢です。
銀行間レートを提供する決済サービスを選ぶ
銀行間レートは通常、金融機関どうしの取引に限定されており、一般の事業者には提供されません。そのため、越境決済を行う際には割高なレートを適用されているケースがほとんどです。為替コストを最小化するには、最小限の上乗せで銀行間レートを提供する決済サービスを探してみましょう。一部のサービスでは、少額の固定マージンで銀行間レートを利用できるため、通貨換算コストの大幅な節約が可能です。
決済ネットワークと直接つながるサービスを選ぶ
すべての国際カードブランド・現地の決済手段・銀行決済ネットワークと直接つながるのは難しいかもしれません。しかし、それが可能な決済サービスを探すことは重要です。取引に仲介業者が関与するたびに手数料が加算されますが、カードブランドのネットワークと直接つながっているサービスを選べば、仲介業者を省いて海外送金コストを大幅に削減できます。取引がネットワーク経由で直接処理されるため、第三者の関与がなくなり、送金スピードも速くなります。
Airwallexで取引ごとのコストを削減しましょう
Airwallexを使えば、単なるコスト削減にとどまりません。グローバル決済・送金・外国為替などをひとつのサービスで完結できるパートナーとともに、長期的なビジネス成長の土台を築けます。
グローバルアカウント(海外口座サービス)を使えば、事業を展開するどの地域でも現地企業のように入出金が可能です。各国で従来型の銀行口座を開設する手間なく、現地の口座情報を持つ現地通貨口座を作成できます。マルチ通貨ウォレット(複数通貨の電子財布)と組み合わせることで、顧客と同じ通貨で資金を受け取り・保有し、同じ残高から仕入先への支払いも行えます。これにより、勝手に両替されることも、それに伴う為替手数料も発生しません。
現地の決済ネットワークと国際カードブランドとの直接接続を通じて取引を処理することで、海外取引手数料や仲介手数料はかかりません。SWIFTを使わず、120か国以上の現地決済ネットワーク経由で送金でき、Airwallexの送金の約95%は当日中に着金します。160以上の現地決済手段での支払い受け付けも、海外取引手数料や処理手数料の削減に役立ちます。
さらに、Airwallexは透明な少額マージンを上乗せした銀行間レートを提供しており、為替コストを大幅に削減できます。
越境決済の受け取り・海外の仕入先への支払い・経費管理など、あらゆる財務業務をひとつのサービスで完結できます。複数のサービスを使い分ける手間がなくなり、コスト削減と業務効率化を同時に実現できます。
「Airwallexを使い始めてから、従来の銀行をほとんど使わなくてよくなりました。入出金から経費管理まで、Airwallexがあればすべて対応できます。」
Ken Ma(ケン・マー)、創業者、Ginger Store
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Regina Lim
Business Finance Writer
Regina is a business finance writer at Airwallex. She creates content that simplifies complex financial topics to help businesses make strategic decisions. Leaning on her experience in the eCommerce industry, she offers a unique perspective on how businesses can navigate the payments landscape and the challenges of operating in a global, highly competitive market.

