今日の財務チームは、大きなプレッシャーにさらされています。CFOや財務リーダーは、支払い、給与、経費精算、一般的な支出など膨大な量の取引を処理しながら、変化し続ける規制への対応、従業員の行動の把握、取引先の管理、そして財務データの意味を解釈することに追われています。
突き詰めると、問題は「情報を整理して把握できるか」という点です。財務責任者が日々扱う情報量が増えれば増えるほど、実際の資金の動きを正確に読み解き、事業が健全に運営されているかを確認できる形に整理することが、ますます難しくなっています。
そのうえに、AIをいかに効果的に活用するかという問題まで加わっています。
AIはこれまでのいかなる技術革新よりも速いペースで進化しており、財務リーダーはその変化に対応しようとしています。しかし、ほとんどの企業が既存の基幹システムの上にAIを乗せようとしています。財務リーダーの50%にとって、グローバルな財務課題への対応は仕組みを根本から見直すことではなく、場当たり的にワークフローを修正することが常套手段です。* しかし、既存のシステムにAIをただ追加するだけでは、その本質的な可能性を見誤っています。
真に速度を上げるためには、AIツールを追加するだけでは不十分です。財務インフラ、業務システム、そしてAIによる判断支援の仕組みが、一体となって機能することが必要です。

AIは単独では機能しない
世界中で、財務分野におけるAI導入率は過去1年だけで600%以上急増しました。AIアシスタント、ダッシュボード、AIエージェントが普及し、財務がより自動化され、賢く、スピーディーになる未来が見えてきています。しかし、その表面の下では、多くの財務オペレーションが依然としてバラバラなままです。
AIはワークフローを整理・最適化することはできますが、バラバラな仕組みそのものを修復することはできません。銀行業務、支払い、財務データがつながっていなければ、AIは不完全な情報をもとに動作することになります。その結果、判断を誤ったり、機会を見逃したりするリスクが生じます。
さらに重要なのは、場当たり的なAI導入では、財務リーダーが同じ問いと向き合い続けることになる点です。「この大量のデータをどう把握すればいい?」「会社の財務状況は健全か?」「資金を効果的に活用できているか?」既存の基幹システムでは、これらの問いに答えるために大規模なチーム、手作業での集約、そして多大な労力が必要です。
インフラがAIに資金の動きの「背景」を与える
AIはそれ単体で動くのではなく、その下にある仕組みをそのまま増幅させます。そして現在の多くの財務インフラは取引を「処理する」ために構築されており、「理解する」ためではありません。取引が起きたことはわかっても、なぜ起きたかはわかりません。
この「背景情報の欠如」こそが問題の核心です。財務の未来は、ただ機械的に自動化することではなく、状況を理解しながら自律的に動くことにあるからです。AIだけでは、規制の複雑さ、各国ライセンスの壁、そして低速・高コストなグローバル金融ネットワークがもたらすギャップを埋めることはできません。
これらは構造的な制約です。既存の基幹システムは、スピード、状況の把握、自動化、業務の機動性すべてに上限を設けてしまいます。しかし、インフラ、ソフトウェア、AIが統合され、一体として機能するとき、根本的に異なる可能性が生まれます。それは、グローバルな財務データを一元管理できる仕組みです。すべての法人・通貨・業務フローの状況を一カ所で把握できる。そしてAIには、活用できる豊富な情報が与えられます。
「機能を追加するためのAI」と「仕組み全体の強みとなるAI」——その違いがここにあります。
AI導入の2つのアプローチ——その行き先
AIは財務分野の知的業務を急速に自動化しています。しかし、企業がどのようにAIを導入するかによって、大きな差が生まれ始めています。
多くの企業にとって、そのアプローチは段階的なものです。すでにバラバラなシステムの上にAIツールを積み重ねていくやり方です。これは個々の業務を改善し、短期的な成果をもたらすかもしれませんが、より深い構造的な問題——特に、つながった財務インフラの欠如——には対応できない可能性があります。
AIが不完全または断絶したデータをもとに動作すると、一見正確に見えても背景を欠いた洞察を提示することがあります。意思決定のスピードは上がっても、質が上がるとは限りません。
他の企業は異なるアプローチを取っています。既存の基幹システムにAIを後付けするのではなく、ゼロベースで設計するという発想で、グローバルかつリアルタイムな財務オペレーションを最初から構築し直しているのです。
その違いが明らかになるのは、市場が不安定なときです。為替変動、規制変更、サプライチェーンの混乱など、市場環境が急変したとき、財務チームはスピードと精度を持って対応する必要があります。そのためには、リアルタイムの状況把握、連携された仕組み、そして複数の法人と通貨をまたいで資金を手間なく・低コストで動かせる能力が必要です。
短期的なAI導入は、既存の仕組みの中でスピードを最適化します。長期的な思考は、設計段階からインテリジェントで、変化に強く、本質的に速いシステムを構築します。
AIが実行を担い、人間は戦略に集中する
これからの財務は、自律的に動くものになっていきます。しかし、それは人間を置き換えることではなく、仕事のやり方を再定義することです。たとえば今日、たった1件の取引でも複雑な一連の処理が発生します。取引先の登録、請求書の照合、承認フロー、支払いの実行、そして帳票照合。
各ステップが手動であるということは、各ステップで状況の文脈が失われるリスクがあることを意味します。自動で動くAIはこれを変えます。一連の処理全体にわたって機能し、それぞれが明確な役割・情報・責任を持ちます。取引先の確認、請求書の照合、支払い方法の最適化、異常の検知、取引の準備——すべてを行いながら、最終確認と判断は人間に委ねられます。
Airwallexでは、これを事後報告型の財務から先読み型の財務へのシフトと表現しています——何が起きたかを記録するのではなく、次に何が起きるかを先読みするということです。AIは財務チームを置き換えるのではなく、より速い意思決定、より深い洞察、より戦略的な影響力を実現する力を与えます。
現代の財務リーダーは、支払い方法やバラバラなシステムに煩わされたくない。最初から世界規模で機能する単一のプラットフォームを求めています。ここでインフラがいかに重要かがわかります。なぜなら、財務チームが世界規模でどれだけ効率的・戦略的に動けるかを決めるのは、機能の多さではなくインフラの質だからです。
Airwallexが実現する自律的な財務管理
まさにここでAirwallexの出番です。私たちは、インフラとソフトウェア、AIが一体となった金融プラットフォームを通じて、AIをお客様のもとに届けています。私たちが構築したのは以下の通りです:
グローバル金融インフラ(口座、送金、為替、カード、決済受付、資金運用)
統合ソフトウェア(支出管理、請求、業務フロー、自動化、帳票照合)
その両方にまたがるAI
これにより、すべての入金、出金、承認フローを——すべての法人・通貨にわたって——一元管理できる財務基盤が生まれます。そしてその基盤によって、他社にはできないことが実現します。バラバラなデータではなく、組織全体の状況を把握したうえで動くAIです。
私たちはすでにこの未来に向けて構築を進めています。AirwallexのAIは、資金運用に関する意思決定のサポート、法令順守の確認、支払いルートの最適化と為替リスクの軽減、そして経費管理と帳票照合の自動化などを担っています。
AIを軸にしたグローバル財務はもはや理想論ではありません——Airwallexは、AIを前提に設計されたインフラとソフトウェアを通じて、世界中の企業の決済、資金運用、支出管理における実質的な成果へとつなげています。
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Shannon Scott
Chief Product Officer, Airwallex
Shannon is responsible for Airwallex's product strategy and roadmap, spanning financial infrastructure, business software, and embedded finance solutions.



