重要なポイント
74%の財務リーダーがAI活用を最優先課題としています。障壁はテクノロジーではなく、それを活用できる人材の不足です。
53%がチームのAI経験不足をスケール拡大の最大の障壁に挙げています。予算やツールの問題は下位にとどまります。
社内でAI人材を育成する組織は、外部の人材市場の追いつきを待つ組織より速く前進します。
2026年1月、McKinseyが若手社員のコホートをAIシステムに置き換えました。すべてのビジネス誌がこのニュースを報じ、アナリストたちは雇用代替率を議論し、内定者たちはキャリアパスを見直しました。コメンテーターたちは、どのタスクでAIが1年目のアナリストをすでに上回れるかを整理しました。
Forresterのリサーチに参加したCFOたちが直面しているのは、別の課題です。経理・財務機能にAIを導入したい。しかし、それを使いこなせる人材が見つからない。
2027年に採用したい人物像を考えてみてください。貸借対照表を読みこなしながら、データパイプラインのデバッグもできる人材。予測がおかしいと気づき、原因を突き止めるコードを自分で書ける人材。AIを月次決算に組み込んだときに何が起きるかを理解し、半年後に監査担当者からどんな質問が来るかをあらかじめ考えておける人材。
この求人を出すと、2種類の応募者が来ます。ターミナルを一度も開いたことのない会計士と、月次決算に一度も参加したことのないデータサイエンティスト。どちらも本物のスキルがありますが、両方を兼ね備えた人材はいません。
74%の財務リーダーが、今後12か月の最優先課題にAI活用を挙げています。内部統制、監査対応、コンプライアンスと同列に位置づけられています。どのCFOグループに聞いても、採用したい人材像は同じです。しかし、その人材はまだ市場に出てきていません。
特に記載のない限り、本稿で引用する統計データはすべて「AI対応の財務機能の構築(Building An AI-Ready Finance Function)」(Forrester ConsultingがAirwallex委託により実施、2026年6月)からの出典です。
誰も埋められない採用要件
どの財務チームも、似たような求人広告を出しています。シンガポールの消費財企業でも、ロンドンのSaaS企業でも、財務責任者に聞けば同じポジション、同じスキルギャップ、同じ「有望候補なし」という結果を語ります。Forresterのリサーチに参加したリーダーたちも、口をそろえて同じ問題を指摘しました。
「会計の専門知識とテクニカルスキルを兼ね備えた人材に出会うことは、ほとんどありません。」 ——財務リーダー、Forresterリサーチ
給与を上げても、人材パイプラインのスピードは上がりません。大学がAIを経理・財務のカリキュラムに加え始めたのは最近のことです。両方に精通した卒業生はまだ2年生の試験を受けているところです。まだ育っていない人材は採用できません。
AIが個別の実験から連携ワークフローへと移行するにつれ、課題の中心はテクノロジー自体から、チームがそれを運用できるかどうかへと移っています。53%のリーダーが、AI対応の財務プロセスを運用するチームの経験不足を最大の障壁に挙げています。また29%は、変化への抵抗と財務チームでの普及率の低さを課題として指摘しています。業界が各社のサービス比較に注力している間に、制約はソフトウェアから人材へと移ってしまいました。
スキルの賞味期限は今や6か月
38%の財務チームは、AIに関する基礎的なリテラシーしかなく、必要なスキル変化について正式な見解も持てていません。
「半年前のスキルでさえすでに時代遅れです。18か月後に、チームが今と同じ状態だとは思いません。」 ——財務ディレクター、英国、Forresterリサーチ
今春チームが作ったプロンプトライブラリが、そのことを物語っています。ベースとなるモデルはすでに2回アップグレードされています。一部のプロンプトは、シンプルな質問よりも悪い回答を返すようになっています。今日のスキル要件に合わせて採用しても、最初の1週間が終わる前に時代遅れになる可能性があります。四半期ごとに、その差は広がっていきます。
40%の財務リーダーが、短期的な生産性向上を超えたビジネスケースの構築に苦労していると回答しています。これは負のループです。AIに精通した人材がいなければ投資案件がまとまらない。投資がなければ、チームはAIリテラシーを身につけられない。このサイクルを打破した(全社的なAI人材戦略を掲げる)組織はわずか15%に過ぎません。残りの企業は、機会の窓が狭まっていることを認識しつつも、確信が持てないまま行動を先送りしています。
採用できない人材を、育てる
問題に直面したとき、すでにAIを活用しようとしている人材こそ育てるべきです。モデルがどうやってその数値を出したのかを繰り返し問い続けるシニアアナリスト、8月の静かな2週間に自分でプロンプトを学んだコントローラー——そうした人材はすでに社内にいます。
「もはや従来の会計バックグラウンドだけを基準に採用していません。分析、データサイエンス、AIの経験がある候補者を意図的に探しています。」 ——財務リーダー、オーストラリア、Forresterリサーチ
あるオーストラリアのEC企業でコマーシャルファイナンスを統括する責任者(Head of Commercial Finance)は、この変化をこう表現しました。かつて研修の約80%を占めていた技術的な会計知識は比重が逆転し、AI活用、効果的なプロンプト技術、クリティカルシンキングに重点が置かれるようになりました。社内育成が機能する理由は明確です。自社の財務業務を熟知している人材は、テクノロジーは知っていても業務コンテキストを知らない外部採用者よりも、速くAIを実務に組み込めます。AirwallexのHead of Data Science and AIを務めるFirdevs Abacioglu氏も最近このことを論じ、最も効果的なAIリードはデータサイエンスチームから生まれると述べました。彼らはすでに業務知識と関連スキルの両方を備えているからです。
43%の財務リーダーが、AI機能は取引先のプラットフォームを通じて提供され、社内チームはオーケストレーション、統合、管理統制に集中すると予測しています。この役割分担によって、社内のAIリテラシーはむしろ一層重要になります。オーケストレーションを担う人材は、何をオーケストレーションしているのかを理解している必要があるからです。
そのコントローラーを選んでください。1四半期、データアナリストとペアを組ませてください。担当する業務フローを最初から最後まで任せ、その運用方法を変える権限を与えてください。今この四半期にそうすれば、競合他社がまだ入門ウェビナーを予約している間に、2027年型の人材を社内で育て上げることができます。
インフラが人材の成長速度を決める
人材は、日々使うシステムの上で成長します。統合プラットフォームで動くチームは、データを共有しない7つのツールを切り替えながら作業するチームより速く学習します。ログイン先が増えるたびに、情報が失われるポイントも増えていきます。
分断されたシステムは、こうした人材の成長を妨げます。ロンドンにいる財務アナリストを想像してみてください。彼女は、取引先への重複支払いをより効果的にフラグ立てする方法に気づきました。統合プラットフォームであれば、その日の午後にはワークフローを変更できます。ツールが分断された環境では、ITチケットを起票して3スプリント待つことになります。その頃には、なぜ起票したかを誰も覚えていません。小さな改善のたびにこの遅延が積み重なれば、分断されたチームの成果は、統合されたチームの一部にとどまってしまいます。
これが、すべてを1か所に集約する理由です。支払い、為替、口座、支出データがプラットフォームに集まることで、育成中の人材は複数のデータをつなぎ合わせる必要なく、一元化されたデータセットから直接作業できます。
今いる人材からはじめる
誰もが求めるショートカットは存在しません。技術的な選考を通過しつつ、第3四半期にいつも異常値が出る理由を知っている即戦力のハイブリッド人材は、市場にいません。最も速い道は、自社チームを育てることでしか開けません。
問題に直面したときにAIを活用しようとする人材を2〜3名選んでください。それぞれに経理・財務の業務フローを1つ端から端まで担当させ、チケットを起票せずに運用を変更できるプラットフォームを与えてください。今この四半期にそうすることで、市場が期待する人材を輩出するよりずっと早く、決算締め、予測、照合作業をAIで運用できる人材が社内に育ちます。
さらに言えば、社内で育てた人材は、外部採用者とは異なり、自社ビジネスを深く理解しています。外部から採用したユニコーン人材はテクノロジーを知っています。しかし社内で育てたアナリストは、テクノロジーを知りつつ、なぜロンドン拠点の決算が2日遅れるのかも、第3四半期の差異がいつも同じ取引先に行き着く理由も知っています。技術スキルと業務知識の組み合わせは、外部市場で購入できるものではありません。この組み合わせは、いち早く着手した組織の内部で複利的に蓄積されていきます。競合他社が、採用だけでこの差に追いつくことはできません。
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Ross Weldon
Contributing Finance Writer
Ross is a seasoned finance writer with over a decade of experience writing for some of the world's leading technology and payments companies. He brings deep domain expertise, having previously led global content at Adyen. His writing covers topics including cross-border commerce, embedded payments, data-driven insights, and eCommerce trends.

