海外の顧客に販売している事業者は、すでに持っている決済データから、次に進出すべき市場の手がかりを得られます。見るべき指標は、国別の注文数、決済成功率、入金までの日数、為替や中継銀行で失われるコストの4つです。この記事では、それぞれの見方と、進出の判断につなげる手順を解説します。
※サービス提供状況:グローバル口座(外貨口座)、海外送金・両替、法人カード、経費管理、請求書支払い、会計ソフト連携は、日本法人向けには現在提供準備中です。海外法人の場合は、法人の所在国・地域と審査条件により利用できる場合があります。日本法人が現在ご利用いただけるのはオンライン決済です。
決済データから次の市場を探すには?
注文データと外部のデータを組み合わせて、海外の買い手がすでに集まっている国を見つけます。どの国から、どのくらいの注文が入り、それが時間とともにどう変わっているかを見るだけでも、新しい需要の兆しが分かります。
たとえば、ここ数か月で東南アジアからの注文が増えているなら、意図せず生まれた需要かもしれません。狙った施策の結果ではない需要は、見逃さずに確認する価値があります。
ただし、注文データが示すのは、自社のチェックアウト(購入手続き画面)にたどり着いた需要だけです。市場全体の大きさまでは分かりません。そこで、貿易統計、検索トレンド、カード会社が公表する利用動向のデータなどを合わせて見ます。目の前の需要が大きな流れの始まりなのか、規模を広げにくい小さな需要なのかを判断できます。
海外の決済市場は拡大が見込まれています。調査会社は、越境決済の市場規模が2032年までに320兆米ドルに達すると予測しています。関税や国際情勢の変化で、貿易の経路も変わりつつあります。
国別の決済成功率から何が分かる?
国別に決済成功率を出すと、買い手を取り込めている市場と、取りこぼしている市場が分かります。特定の国だけ失敗が多いときは、提供している決済手段と、現地の買い手が使いたい手段が合っていないことが多いです。
決済成功率とは、決済の試行のうち、承認された割合のことです。
たとえば、ブラジルからの注文試行は多いのに成功率が低い場合は、決済手段の見直しが必要です。ブラジルでは、Pixという即時の銀行決済が最も普及した手段の一つです。これを選択肢に加えると、すでにあった需要を売上に変えられる可能性があります(海外の例です)。
エラーコード(決済が承認・拒否されるたびに返される、2〜4桁の数字)を見ると、原因をさらに絞れます。
特定の地域で一時的な失敗が集中している場合は、再試行の仕組みや認証の設定を見直す合図です。
特定のカードブランドで失敗が続く場合は、現在の決済処理事業者がその経路をカバーしていない可能性があります。
売上が伸びていない市場でも、実は需要があるのに決済の仕組みが原因で断られているだけ、ということがあります。
収益性はどう判断する?
売上の大きさに加えて、入金までの日数と為替のコストを見ます。売上が大きい市場でも、入金の遅れ、自動的な通貨の換算、中継銀行の手数料によって、利益が減っていることがあります。
通貨や取引経路ごとに、平均の注文額と手元に残る金額を比べてみてください。同じ売上でも、手取りに差が出る場所が分かります。
たとえば、同じくらいの取引量がある別の市場より、入金に3日多くかかっている市場があれば、原因を調べる価値があります。入金の経路を見直したり、自動的な通貨換算をやめたりすることで、ぎりぎり黒字だった市場が、広げる価値のある市場に変わる可能性があります。
有望な市場が見つかったら、何から始める?
最初の一手は、現地で使われている決済手段への対応です。自分が買い物をするときも、使い慣れた決済手段がなければ購入をやめるはずです。日本のECサイトがPayPayやコンビニ払いに対応していない場面を想像すると分かりやすいでしょう。海外の買い手にも、同じことが起きています。
海外の例として、オランダではWero、韓国ではKakao Pay、ブラジルではPixがそれぞれ使われています。現地の決済手段に対応すると、決済成功率は上がりやすくなります。
次に、集めた外貨は、同じ通貨のまま受け取る方法を検討します。同じ通貨で受け取れば、いつ円などに換算するかを自分で選べます。為替レートが不利なときは残高を保持しておく、といった対応も可能です。詳しくは、為替の変動が利益率に与える影響の記事も参考になります。
決済データが別々の場所にあると、なぜ困る?
分析に必要な情報が分散していると、機会を見極めるまでに時間がかかり、参入の好機を逃すおそれがあるからです。決済データは決済サービス、為替の換算は銀行のサイト、売上の管理は表計算ソフト、という状態では、比べるだけで手間がかかります。
1つのプラットフォームにまとまっていれば、国別の決済成功率、通貨別の残高、入金のタイミングを同じ場所で見られます。
Airwallexは、決済の受け付けに加えて、マルチカレンシー口座(複数の通貨を保有できる口座)や為替換算、支出管理などの機能を提供しています(日本法人向けは提供準備中です)。日本法人が現在ご利用いただけるのはオンライン決済です。Airwallex Optimize 360のように、AIを使って決済の承認率の改善やコストの管理、不正の防止を支援する機能もあります。
次の一歩は?
まず、先月の海外向け売上を国別に並べてください。どの国から注文が来ているか、決済がどのくらい成功しているか、入金まで何日かかっているかを確認します。そこに、次に動くべき市場の手がかりがあります。
決済の成功率は需要の場所を示し、入金の遅れや為替のコストは利益が削られている場所を示し、現地の決済手段は買い手が離脱している場所を示します。
よくある質問
海外市場の需要は、決済データのどこで分かりますか?
国別の注文数と、その推移を見ます。特定の国からの注文が増えていれば、需要が生まれている可能性があります。貿易統計や検索トレンドなど、外部のデータも合わせると判断しやすくなります。
国別の決済成功率が低いときは、何を疑えばよいですか?
提供している決済手段が、現地の買い手の好みと合っているかを確認します。エラーコードを見ると、一時的な失敗なのか、特定のカードブランドで続く失敗なのかを切り分けられます。
売上が大きい市場なのに利益が少ないのはなぜですか?
入金の遅れ、自動的な通貨の換算、中継銀行の手数料などで、利益が削られている可能性があります。通貨や経路ごとに、手元に残る金額を比べてみてください。
現地の決済手段には、なぜ対応したほうがよいのですか?
買い手は、使い慣れた決済手段が使えないと購入をやめるからです。現地で使われている手段に対応すると、決済成功率が上がりやすくなります。
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Ross Weldon
Contributing Finance Writer
Ross is a seasoned finance writer with over a decade of experience writing for some of the world's leading technology and payments companies. He brings deep domain expertise, having previously led global content at Adyen. His writing covers topics including cross-border commerce, embedded payments, data-driven insights, and eCommerce trends.


