為替ヘッジ(将来の為替レートを固定して、相場変動のリスクを抑える取引)をしていても、利益は減ることがあります。原因は、日々の両替に含まれる手数料や上乗せ分の積み重ねです。この記事では、ヘッジで防げないコストの正体と、利益を守る3つの対策を解説します。
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為替ヘッジをしても損失が出るのはなぜ?
ヘッジしても損失が出るのは、ヘッジが防ぐのが相場の変動だけで、日々の両替にかかるコストは防げないからです。
財務の意思決定に関わる役員・責任者750名を対象とした調査によると、北米・欧州の中堅企業の88%が、為替エクスポージャー(為替リスクにさらされている金額)をヘッジしていました。それでも、同じ回答者の62%が、為替変動によるマイナスの影響を報告しています。これは海外の調査で、日本企業を対象にしたものではありません。ただ、ヘッジをしていても、損失の原因が残ることを示しています。
日本の中小企業でも、円安の局面では、輸入の仕入れコストが上がります。輸出入の代金を受け払いするたびに、換算のコストも積み重なります。
ヘッジで防げない為替コストとは?
ヘッジで防げないのは、両替のたびに生じる手数料と、為替レートへの上乗せ分です。ヘッジしたポジションの間で、毎日、取引ごとに少しずつ利益を削ります。
二重の両替で、コストが2回かかる
外貨で受け取った代金を円に替え、その後の海外の仕入先への支払いのために、再び円を外貨に替える場合を考えます。同じ通貨のために、両替が2回、手数料も2回かかります。
例:外貨で受け取った代金が、銀行間レートで100万円に相当するとします。円に替えるときに1%のコストがかかり、同じ金額を仕入先への支払いで外貨に戻すときにも1%かかるとすると、合計で約2万円です。この1%は仮の数字です。実際のコストは、金融機関やサービスによって異なります。
全体像の把握が遅れる
多くの財務チームは、月次決算のときに、為替エクスポージャーの全体像を確認します。しかし、為替は決算を待たずに動きます。先月の取引を照合するころには、通貨がすでに次の動きをしている場合があります。
利益を守る3つの対策は?
対策は、不要な両替を減らす、必要な両替はレートを確認して行う、為替エクスポージャーを早く把握する、の3つです。ヘッジと組み合わせることで、ヘッジだけでは届かない部分を補えます。為替リスクそのものの考え方も、あわせてご覧ください。
1. 不要な両替を減らす
また使う通貨を、その都度円に替えるのをやめます。最も直接的にコストを減らせる方法です。
外貨で入金された資金をそのまま保有し、同じ通貨の仕入先への支払いに使えば、両替が発生しません。例:外貨で受け取った代金が100万円相当、同じ通貨で払う仕入代金が60万円相当なら、その60万円分は両替せずに済みます。その分の換算コストはかかりません。
複数の通貨を保有できる口座(マルチカレンシーアカウント)が、この方法に使えます。Airwallexにはグローバル口座(外貨口座)がありますが、日本法人向けには提供準備中です。
2. 両替が必要なときは、レートとタイミングを確認する
常に同じ通貨で入出金できるとは限りません。両替が必要な場合は、どのレートで、いつ替えるかが、残る利益を左右します。
従来の銀行では、為替の手数料がレートに組み込まれ、別に表示されないことがあります。提示される数字が一つだけだと、銀行間レート(金融機関どうしが取引する基準のレート)からどれだけ上乗せされているのかが分かりません。
例:年間1,000万円分を両替する場合、上乗せが3%なら30万円、0.5%なら5万円です。差の25万円は、レートの上乗せ幅だけで生じます。この数字は仮の例です。
上乗せ幅が事前に開示され、レートを確認したうえで両替のタイミングを選べるサービスなら、コストを見通しやすくなります。
3. 為替エクスポージャーを早く把握する
売上、仕入先への支払い、法人カードの支出、グループ会社間の送金など、為替エクスポージャーは複数の場所で積み上がります。全体を見られる仕組みがないと、月次決算まで合計を把握できません。
全社の通貨と取引を、ひとつの画面で確認できれば、為替が動いた月の途中でも対応できます。たとえば、両替のタイミングを前倒しにする、支払いの時期を調整する、財務部門に報告するといった対応です。
Airwallexは、法人カードや経費管理の機能でも、通貨ごとの支出を確認できる機能を提供しています(日本法人向けは提供準備中)。
為替対策の見直しは、何から始める?
まず、自社で1年間にどの通貨を、どれだけ両替しているかを洗い出してください。そのうえで、両替の回数を減らせるか、上乗せ幅が開示されているかを確認します。ヘッジの有無にかかわらず、為替の影響は売上、コスト、運転資本のすべてに及びます。相場を予想しようとするより、相場がどう動いても大きく崩れない仕組みを整える方が、確実です。
よくある質問
為替ヘッジをしていれば、為替のリスクはなくなりますか?
なくなりません。ヘッジで抑えられるのは、相場変動のリスクです。両替のたびにかかる手数料や、レートへの上乗せ分は、ヘッジしていても発生します。
二重の両替とは何ですか?
同じ通貨のために、両替を2回行うことです。たとえば、外貨で受け取った代金を円に替え、その後、外貨で支払うために再び替える場合です。手数料もそのたびにかかります。
為替レートの上乗せは、どう確認できますか?
銀行間レートと、実際に適用されたレートを比べます。差が上乗せ分です。手数料として別に表示されない場合があるため、両替の前にレートの決め方を確認してください。
日本の中小企業でも、この対策は役立ちますか?
役立ちます。輸出入や海外への支払いで、両替を繰り返している企業ほど、コストの積み重なりが大きくなりやすいためです。まずは両替の回数と、上乗せ幅の把握から始めてください。
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Ross Weldon
Contributing Finance Writer
Ross is a seasoned finance writer with over a decade of experience writing for some of the world's leading technology and payments companies. He brings deep domain expertise, having previously led global content at Adyen. His writing covers topics including cross-border commerce, embedded payments, data-driven insights, and eCommerce trends.


