10年前、Airwallexは一つのシンプルな不満から生まれました。世界は急速にボーダーレス化しているのに、銀行のシステムだけが国内向けのまま止まっている、という現実です。従来の銀行は、ローカルライセンス、物理的な支店網、一括処理を前提とした古いシステムに縛られ、本質的に国内向けに設計されています。多くの金融機関がグローバルを掲げますが、実態は共通のロゴを掲げた「ローカル法人の寄せ集め」であることが少なくありません。企業は国境を越えるたびに、新規顧客として煩雑な手続きを求められてきました。
私たちはこの10年、その代わりとなる仕組みの構築に取り組んできました。どの市場でも自国と同じ感覚でビジネスができる、単一の独自ネットワークです。決済の受け入れ、資金管理、送金、支払いという、国や通貨、法人をまたぐ一連の流れを一つに統合しています。
※サービス提供状況:グローバル口座(外貨口座)、海外送金・両替、法人カード、経費管理、請求書支払い、会計ソフト連携は、日本法人向けには現在提供準備中です。海外法人の場合は、法人の所在国・地域と審査条件により利用できる場合があります。日本法人が現在ご利用いただけるのはオンライン決済です。
Airwallexはどんなサービスなのか?
Airwallexは、取引先の受け入れから請求書の承認、自動送金、為替換算、会計システムとの照合まで、一連の流れを一つのプラットフォームでつなぐことを目指しています。お客様が最も驚かれるのは、グローバルな業務を動かすために、バラバラのプロバイダーをつなぎ合わせる必要がなくなったと気づいた瞬間です。
例えばEC事業者の場合、多くの通貨でオンライン決済を受け付け、受け取った通貨のまま保有し、支払いに使うことができます。強制的な両替による利益の目減りを避けられる、という考え方です(外貨口座や海外送金・両替は、日本法人向けには提供準備中です)。
Airwallexはしばしば、決済プロセッサー(決済処理事業者)や為替サービスといった既存の分類で語られます。私たちが目指す価値は、それらを一つのプラットフォームに統合し、事業者の手間や負担を減らすことです。
2025年を振り返り、確信していることがあります。スタートラインに立つだけでも、この10年の粘り強い積み上げが必要だった、ということです。
各国・地域でのライセンス・許認可の取得
ゼロからの独自グローバル金融ネットワークの構築
世界中の意欲的な企業からの信頼の獲得
グローバルバンキングにおいて、これらは単なる競争優位ではなく、参入するための入場料です。土台は整いました。ここからが本当の変革の始まりです。
2025年はどんな年だったのか?
2024年が勢いの年だったなら、2025年は証明の年でした。かつて多くの人は、特定の地域ではスケールできても、真にグローバルな拡大は難しいと予測していました。しかし、2024年にARR(年間経常収益、年間ベースで見た継続的な売上)5億ドルの到達を発表してからわずか1年後の2025年10月に、AirwallexはARR 10億ドルを突破しました。
この成長は、次の3つの変化に裏付けられています。
グローバルな存在感の拡大: 米州とEMEA(欧州・中東・アフリカ)で高い成長を記録し、特定の地域に依存しない顧客基盤が広がっています。
規律あるスケール: プロダクトとインフラへの再投資が実を結んでいます。他社への依存を減らした独自インフラにより、コスト効率と信頼性の両立を目指しています。
投資家からの信頼: 長期的なビジョンを共有するパートナーを迎えられたことを誇りに思います。
プロダクトはどう進化したのか?

法人口座(Business Accounts)
Airwallexは、世界各国でローカル口座のように入金を受けられるグローバル口座を提供しています。複数の銀行にログインし、複雑な為替計算に追われる状況を減らすことが狙いです。取引の多くはローカルの決済ネットワークで処理されます。なお、グローバル口座は日本法人向けには提供準備中です。
支出管理(Spend)
Airwallexは、多くの国で発行できる法人カードを提供しています。さらに、調達から支払いまでを管理するベンダー管理や、購買依頼・発注のワークフローを提供し、人事システムとの連携も深めています。財務・人事・運用をつなぐ管理の拠点となることを目指しています。これらの機能は日本法人向けには提供準備中です。
決済(Payments)
Airwallexは、AIを活用した決済の最適化エンジン「Optimize 360」で、決済の成功率を高める取り組みを進めています。また、オンラインと実店舗をつなぐPOS(店舗レジ)ソリューションの展開や、ワンクリックチェックアウトのパイロット(試験導入)を開始し、購入時の手間を減らしています。
AIはどんな未来をつくるのか?
多くのAIツールは分析や助言で止まりますが、Airwallexは実行まで到達することを目指しています。資金移動のインフラを自ら管理しているため、AIエージェントが判断した内容を、コンプライアンスを維持したまま実行に移せます。
AIアシスタント: 導入や連携の作業を支援します。
エージェントコマース: AIエージェントが自律的にグローバル取引を行えるようにするための、規制に対応した基盤を構築しています。
私たち自身もAIを前提とした組織へと変わりました。AIは機能の一つではなく、私たちが事業を拡大するための力そのものです。
今後の方針は?
私たちの北極星(目指す方向)は、より多くの企業に選ばれ、事業規模を大きく伸ばすことです。柱は次の3つです。
地理的な拡大: アジア太平洋を含む各地で、ライセンスの取得とサービスの展開を進めています。
ブランドの構築: マクラーレンやアーセナルとのパートナーシップは、単なる広告ではありません。ミスの許されない世界で頂点を目指す彼らと同じ精度を、私たちの金融システムでも追求します。
金融機能全体の提供: 特定の機能から使い始めていただき、最終的には金融の仕組み全体をAirwallexに統合していただくことで、総保有コスト(導入から運用までにかかる費用の合計)を下げることを目指しています。
結びに
国境やタイムゾーンを超えて働く私たちのチームには、共通の鼓動があります。お客様が成功するまで決して止まらない、粘り強さです。古い銀行システムは単に遅いだけでなく、グローバルなイノベーションにとって目に見えない税金のような存在です。私たちはその障壁を一つずつ取り壊していきます。
この10年、共に歩んでくださったお客様とパートナーの皆さまに、心より感謝申し上げます。土台は整いました。Airwallexの本当の挑戦はここから始まります。
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Jack Zhang
共同創業者 兼 最高経営責任者


