為替リスクとは、為替レートが変動することで、外貨建ての取引や資産の円換算額が変わり、利益が減る(または増える)リスクです。海外から仕入れる企業も、海外へ販売する企業も影響を受けます。この記事では、為替リスクの種類、レートが動く原因、事業への影響、企業が取れる対策を順に説明します。
※サービス提供状況:グローバル口座(外貨口座)、海外送金・両替、法人カード、経費管理、請求書支払い、会計ソフト連携は、日本法人向けには現在提供準備中です。海外法人の場合は、法人の所在国・地域と審査条件により利用できる場合があります。日本法人が現在ご利用いただけるのはオンライン決済です。
為替リスクとは?
為替リスクとは、為替レートの変動によって、取引の代金や保有する資産の価値が変わるリスクです。通貨リスク、為替変動リスクとも呼ばれます。
日本円で事業をしている企業が外貨で取引すると、レートが動くたびに円での支払額や受取額が変わります。円安(円の価値が外貨に対して下がること)になれば、輸入代金の円換算額は増えます。円高(円の価値が外貨に対して上がること)になれば、輸出で受け取る外貨の円換算額は減ります。
次の例で考えてみます。
例:1万米ドルの商品を、1か月後払いで仕入れる契約をしたとします。契約時のレートが1米ドル=150円なら、支払見込額は150万円です。支払時に1米ドル=155円へ円安が進むと、支払額は155万円になり、仕入れの内容は同じでも5万円の追加負担になります。
利益率が低い事業ほど、この差は経営に響きます。
為替リスクにはどんな種類がある?
為替リスクは、取引リスク、経済リスク、換算リスクの3種類に分けられます。どれが自社に関わるかで、取るべき対策が変わります。
取引リスク
取引リスクは、契約から入金・支払までの間にレートが動き、円換算の金額が変わるリスクです。たとえば、10万ユーロで海外の顧客に販売する契約を結び、入金までにユーロ安・円高が進むと、受け取れる円は想定より少なくなります。為替予約(将来の取引に使うレートを、あらかじめ銀行などと約束しておくこと)でレートを固定すれば、備えられます。
経済リスク
経済リスクは、為替レートの変化が企業の競争力や将来の収益に及ぼす影響です。円高が続くと、海外市場での自社商品の価格が現地の競合より割高になり、販売数量が減る場合があります。個別の取引では防ぎにくいため、販売先や仕入先の地域を分散させる、価格設定を見直すといった経営面の対応が中心になります。
換算リスク
換算リスクは、海外子会社などの財務諸表を円に換算する際、レートによって数字が変わるリスクです。円高になると、海外子会社の利益は円換算で小さく見えます。実際の現金の動きは変わらなくても、決算の数字や投資家からの見え方に影響します。
為替レートはなぜ変動する?
為替レートは、国の経済状況、政治、中央銀行の政策、世界的な出来事、市場参加者の思惑などで動きます。完全に予測することはできませんが、原因を知っておけば備えやすくなります。
経済状況: GDP(国内総生産)の成長率やインフレ率が堅調な国の通貨は、一般に買われやすくなります。
政治的な出来事: 選挙、政策変更、地政学的な緊張、貿易紛争や制裁などで投資家の信頼が揺らぐと、通貨が売られることがあります。
中央銀行の政策: 利上げは海外からの投資を呼び込み、通貨高につながる場合があります。利下げは通貨安につながる場合があります。
世界的な出来事: パンデミックや自然災害は、物流や需要、経済の見通しを大きく変え、通貨の急な変動を招くことがあります。
投機や取引活動: トレーダーや投資家の予想が、経済や政治の出来事の影響を増幅させ、合理的な根拠を超えて動くことがあります。
為替レートは事業にどんな影響を与える?
影響は、自社が輸入側か輸出側か、海外資産を持つかによって変わります。
輸入価格: 円安になると、輸入する原材料や商品の円建てコストが上がります。円高ならコストが下がります。
輸出価格: 円高になると、海外での自社商品の価格が割高になり、競争力が下がる場合があります。円安なら割安になり、需要が増える場合があります。
海外資産の価値: 外貨建ての資産は、円高になると円換算額が減ります。
計画・予算: レートが読めないと、将来の仕入コストや売上の見通しが立てにくくなり、投資判断も慎重にならざるを得ません。
為替リスクを抑える方法は?
代表的な対策は、為替予約、ヘッジ取引、ナチュラルヘッジ、複数通貨の口座の活用です。事業の規模や取引の頻度に合わせて選びます。
為替予約(先物為替予約)
為替予約は、将来の指定日に、決めたレートで通貨を売買する約束です。レートが固定されるため、支払額や受取額が確定します。
例:1か月後に1万米ドルを支払う予定で、今日、1米ドル=150円で為替予約をします。1か月後にレートが1米ドル=155円になっていても、支払額は150万円のままです。
メリット: 支払額・受取額が確定し、予算や資金繰りの計画を立てやすくなります。
デメリット: 為替が有利に動いても、契約したレートが適用されます。手数料や上乗せ費用がかかる場合もあります。
ヘッジ取引(先物・オプション・スワップ)
ヘッジとは、金融商品を使って為替変動による損失を抑える取引です。代表的なものに、先物(将来の売買を約束する取引所取引)、オプション(一定のレートで売買する権利を買う取引)、スワップ(異なる通貨の元本や利息の支払いを交換する取引)があります。
メリット: 為替が不利な方向に動いたときの大きな損失を抑えられます。
デメリット: 仕組みが複雑で、管理に金融の知識が必要です。取引手数料や証拠金(取引の担保として預けるお金)が必要になる場合もあります。
ナチュラルヘッジ
ナチュラルヘッジとは、同じ通貨で仕入れと販売を行い、為替変動の影響を自然に打ち消し合う方法です。たとえば、ユーロで原材料を仕入れ、ユーロで製品を販売すれば、ユーロ高で仕入れコストが増えても、受け取るユーロの円換算額も増えます。
メリット: 金融商品を使わないため、費用を抑えやすく、仕組みも簡単です。
デメリット: 仕入先や販売先の通貨を選べない場合があり、事業モデルによっては使えません。
複数の通貨を保有できる口座
1つの口座で複数の通貨を受け取り、保有し、支払える口座(多通貨口座)を使うと、受け取った外貨をそのまま支払いに回せます。円に換算してから再び外貨に戻す回数が減り、換算のたびにかかる手数料や為替差の負担を抑えられます。換算のタイミングは自社で選べますが、そのためにはレートを確認し続ける必要があります。
Airwallexは、複数通貨の口座、法人カード、決済処理を1つのプラットフォームで提供しています(日本法人向けのグローバル口座と法人カードは提供準備中です)。日本法人が現在利用できるのはオンライン決済です。複数の手段を比較するときは、手数料の表示だけでなく、換算の回数も含めた総コストで判断することが大切です。
よくある質問
通貨リスクと為替リスクは何が違いますか?
通貨リスクは、ある通貨の価値が別の通貨に対して変動することで生じる損益の可能性を指します。為替リスクは、その変動がキャッシュフローや利益、財務状況に与える影響まで含めて使われることが多い言葉です。実務では、ほぼ同じ意味で使われる場合もあります。
海外と取引する企業にとって、為替リスクはなぜ重要ですか?
レートが変動すると、仕入れや販売の円換算額が想定と変わり、利益率や資金繰りに影響するためです。為替リスクを管理すれば、キャッシュフローが安定し、計画を立てやすくなります。
為替リスクのヘッジによく使われる手段は何ですか?
為替予約、先物、オプション、スワップが代表的です。為替予約は将来のレートを固定し、先物は同様の保護を取引所で標準化した形で提供します。オプションは、一定のレートで売買する権利を得る取引で、売買する義務はありません。
小規模な企業は為替リスクをどう管理できますか?
まず、自社の外貨建て取引の金額と時期を把握し、為替予約やナチュラルヘッジなど、負担の小さい方法から検討します。複数の通貨を1つの口座で管理できるサービスを使う方法もあります。
為替レートの変動に影響する要因は何ですか?
金利やGDPなどの経済指標、政治的な安定、政策、市場参加者の心理が影響します。金利が高い国には海外からの投資が集まり、通貨が強くなる場合があります。世界的な出来事によって、レートが突然大きく動くこともあります。
免責事項
この記事の内容は情報提供のみを目的としており、法務、規制、税務、投資に関する助言ではありません。具体的な状況については、専門家にご相談ください。
他の地域の記事を読む:オーストラリアシンガポールニュージーランドマレーシア米国グローバル

Airwallex Editorial Team
Airwallex’s Editorial Team is a global collective of business finance and fintech writers based in Australia, Asia, North America, and Europe. With deep expertise spanning finance, technology, payments, startups, and SMEs, the team collaborates closely with experts, including the Airwallex Product team and industry leaders to produce this content.


