Airwallex Payment Fraud Engineは、AIと機械学習で全ての決済をリアルタイムに判定し、不正を止めながら、正規のお客様を誤って断る「誤拒否」を減らす不正対策の仕組みです。追加認証は必要な場面だけに絞り、チェックアウトの手間を増やしません。この記事では、その仕組み、関連する機能、加盟店が使える管理機能を説明します。
オンライン決済の不正対策はなぜ難しい?
不正を強く止めるほど正規のお客様を断りやすくなり、緩めるほど被害が増えるからです。非対面のカード決済、サブスクリプション、デジタル商品、海外ECの取引が増え、不正の手口も巧妙になっています。
従来のツールでは、次の二択になりがちでした。
強く遮断する:誤拒否で、正規のお客様と売上を失うおそれがある
制御を緩める:不正による損失、チャージバック(カード利用者が支払いに異議を申し立て、売上が取り消されること)、カードブランドとの関係悪化を抱える
Payment Fraud Engineは、この二択を小さくすることを目指しています。
Payment Fraud Engineは何ができる?
できることは主に3つです。
不正や組織的な攻撃を、売上に影響が出る前にリアルタイムで止める
ワンタイムパスコードや銀行アプリ認証などの追加認証(ステップアップ認証)を、必要な場面だけ求める
市場やカードの種類を問わず、カードブランドのルールに沿った運用を保つ
機能の提供範囲は、加盟店の契約や地域によって異なる場合があります。
決済の全体でどう不正を防ぐ?
不正対策を単独のツールにせず、決済の流れ全体の中に組み込んでいます。次の4つの機能が連携して動きます。
Payment Fraud Engine:全ての取引をリアルタイムで採点し、「許可」「追加確認」「ブロック」のいずれかを返します。決済後の結果は学習に戻され、精度が上がり続けます。
Optimize 360:承認率を高めるため、再試行、セキュリティチェック、トークン化(カード番号を別の符号に置き換えること)を含む最適な決済ルートを選びます。
Airwallex Sentinel:組織的な攻撃を検知し、防いだ不正を見える形にします。
AI Dispute Automation(AI異議申し立て自動化):異議申し立てへの対応方針を提案し、証拠の提出を自動化します。
Airwallexは、アクワイアリング(カード決済の加盟店契約)、不正対策、認証、決済ルートの選択、トークン化、異議申し立て処理を自社で運用しています。そのため、不正の判定が決済ルートや認証に反映され、異議申し立ての結果がモデルの改善に使われます。
エンジンの中では何が行われている?
決済ごとに、リスクの評価から最適な対応の決定までを、チェックアウトを遅らせずに実行しています。
どんなデータで判断する?
判断の土台は、決済・カード情報、デバイス(端末)の特徴と操作の傾向、顧客プロファイル、ネットワーク全体のデータなどです。これらを一つのリスクデータにまとめ、取引を一貫した基準で見られるようにしています。
判定はどんな順番で行われる?
判定は3つの段階で進みます。
取引を、デジタル商品、旅行予約、定期決済などのリスクの型に当てはめ、一律ではなく状況に合わせて判断します。
長期的な行動パターンや直近のアクセス状況など、多数のシグナルからリスクスコアを出します。そのスコアを、既知の攻撃への対策、セグメント別の方針、カードブランドのルールに沿った制御、加盟店が決めたルールを重ねた仕組みに通します。
不正判定の結果をもとに、追加認証を求めるか、どの決済ルートを使うか、再試行するかを決めます。単に遮断するのではなく、購入の完了を増やすことも目的にしています。
加盟店は判定をどう確認・調整できる?
加盟店向けの管理機能で、成績を確認し、設定を少しずつ調整できます。自動化を信頼しつつ、必要なときは手動で介入できるようにするための機能です。
Risk Analyticsダッシュボード:不正率、異議申し立ての比率、承認の推移などの主要指標を表示します。
ウォッチリスト:特定の属性を、明示的に許可またはブロックできます。
理由コード:複雑な判定を、対応につなげやすい説明に変えます。
日本のEC加盟店が押さえておくことは?
不正対策の専用ツールを使う場合でも、国内ガイドラインの要件は満たす必要があります。経済産業省の「クレジットカード・セキュリティガイドライン」は、割賦販売法のセキュリティ対策義務の実務上の指針とされています。
EMV 3-Dセキュア(カード利用時の本人認証):原則すべてのEC加盟店に、2025年3月末までの導入を求めています。
セキュリティ・チェックリストの対策:2025年4月以降、すべてのEC加盟店に、脆弱性対策などの実施を求めています。
3-Dセキュアなどの本人認証は、不正を防ぐ土台になります。そのうえで、AIによる判定を組み合わせる形です。
Airwallexの不正対策の特徴は?
決済の流れ全体を自社で運用しているため、不正の判定が決済処理に直接反映される点です。具体的には次のとおりです。
決済の仕組みとの連携:認証は必要なときだけ動的に適用され、決済ルートも状況に合わせて選ばれます。
全工程への対応:お客様のチェックアウトから、異議申し立ての解決までを支援します。不正は認証の前に止め、判定は実際の取引結果で見直されます。異議申し立てには、手作業を減らす自動化ツールが使えます。
導入するとどんなメリットがある?
主なメリットは次の5つです。
リアルタイムの保護:売上に影響が出る前に、不正や攻撃を止められます。
承認率の向上:手間を減らし、正規のお客様をより多く通せます。
不正・異議申し立てのコスト削減:カードブランドの基準内に収め、売上をより多く回収できます。
判定の透明性:判定の理由を理解し、方針を調整できます。
新しい手口への対応:AIが新たな不正パターンに継続的に対応します。
複数の不正対策ツールを組み合わせている、または入れ替えを検討している場合は、決済・不正対策・異議申し立て処理をまとめて運用できる点が選択肢の一つになります。
よくある質問
誤拒否とは何ですか?
不正ではない正規のお客様の決済を、誤って断ってしまうことです。不正対策を強めすぎると増え、売上の機会損失につながります。
追加認証はすべての決済で求められますか?
いいえ。Payment Fraud Engineは、追加認証を必要な場面だけに絞って求めます。ワンタイムパスコードや銀行アプリ認証などがその例です。
加盟店側で判定の設定を変えられますか?
はい。ウォッチリストで特定の属性を許可・ブロックでき、理由コードで判定の理由を確認できます。Risk Analyticsダッシュボードで不正率や承認の推移を見ながら、調整していきます。
日本のEC加盟店が守るべき基準はありますか?
経済産業省のガイドラインは、EMV 3-Dセキュアの導入と、セキュリティ・チェックリストに沿った対策を加盟店に求めています。AIによる不正対策は、これらの対策を土台にして活用します。
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Cora Peng
Staff Product Manager, Fraud & Risk


